キスの意味
その頃の私は、塚本さんに告白したいような、したくないような・・・毎日、複雑な想いで塚本さんを見ていた。

そうして迎えた金曜日。

塚本さんは休日出勤するだろうけど、そこでまた、都合よく話ができるとは限らないし・・・

自宅は知っているけど、「ピンポ~ン!」と訪ねていく勇気もない。だいいち、自宅に押しかけてまでの告白なんて、「中学生か!」てね。

なんとなく、ジレジレとした思いを抱えていた午後5時過ぎ――思わぬ人がやって来る。

「!藤田さんっ!」

事務所からトイレに行った帰り、塚本さんではない、スラリとした後ろ姿に駆け寄った。

「よっ!会うのは、久しぶりだな」

「ニッ」と笑った藤田さん。まっ、眩しい!相変わらずキラキラな笑顔です。

「打ち合わせですか?」

「ああ」と小さく頷く藤田さん。

藤田さんの営業所では、今、大きな取引が決まりかけている。その話で最近、藤田さんから、高野主任や課長への電話が増えていて、私も、取り次ぐ事がある。

各営業所の営業担当は、1人から2人。大きな取引の時は、本社からも人が動く。
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