聖なる夜に、幸せを。
錦さんを先頭に、とりまきたちが笑う。
微笑みって感じではなく、悪魔の微笑みって感じ。
…マジ、なんだ。
でも言えないからなぁ。
私史上最高のクリスマスを迎えるための条件だから。
言ってしまったら、史上最悪のクリスマスになる。
だってずっと憧れていた三田くんとクリスマスに会うんだよ?
これ以上の幸せはないよォ!!
「ちょっと夜浪さん、聞いているの?」
「聞いてますよォ?」
「じゃあ教えなさい」
「私は無理ですぅ。
最高のクリスマスを迎えるための条件ですから!」
「最高のクリスマスを迎えるための条件…?」
怪訝な顔の錦さんに、とりまきの1人が耳打ちをする。
その子が離れると、錦さんは魔女のような笑みを浮かべた。
「最低ね夜浪さん。
あたしがいるって言うのに、三田くんを奪うの?」
はい?
「クリスマスデートに三田くんを誘ったのね。
悪いけど、三田くんはクリスマスはあたしとデートよ?
オホホホホ、可哀想ねェ夜浪さん」
クリスマスは、錦さんとデート…?
嬉しそうにとりまきと笑う錦さん。
私の目は再び点になる。