聖なる夜に、幸せを。






「聖奈には言っていなかったけどね。
あたしの両親、クリスマスの日いないのよ。
聖奈の家みたいに、クリスマスの日に旅行に行くのよ」



そうなんだ。

夏ちゃんはクリスマスが嫌いだと言う珍しい子だったから、あんまりクリスマスの話とかしなかったからな…。

夏ちゃんの家には行ったことあるけど、毎回ご両親いたし。

まさか私の家と同じく、旅行でいなかっただなんて。



「あたしにはお祖父ちゃんとかお祖母ちゃんとかいないから、毎回1人でクリスマスを過ごしていたの。
あたしは夏の方が冬より好きだし、1人だから、クリスマスが嫌いだったの」



そういえば私、夏ちゃんと出会って2年だから、夏ちゃんのこと知っていると思っていたな。

でもこうして聞いてみると、私…あんまり夏ちゃんのこと知らないんだ。

クリスマスが嫌いな理由も、詳しく聞いたことなかったな……。



「その日もあたしは1人だった。
そうしたら深夜、突然窓が開いて、2人組の男女が入ってきたのよ。
女の人の方が、聖来さんにそっくりだったの。
男の人の方は知らない人だったわ」



トナイさんだ。

突然窓が開いたってことは、それが魔法かな?



「あたし最初は泥棒かと思ったわ。
でも、聖来さんにそっくりな人はあたしの名前を知っていたの」



だってお姉ちゃんと夏ちゃん、会ったことあるものね。




「女の人は笑って、あたしにプレゼントをくれたわ。
帰り際、あたしは聞いたの。
…あなたたちはサンタクロースですかって」



聞いたんだ。

さすが怖いもの知らずの夏ちゃん。







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