課長、ちゃんとしてください。
「………がんばり屋さんでねぇ、いっつも遅くまで残業してたのねー。


で、ある日、ねぇ。

ほんとに夜中まで会社に残っててね。


その日の帰りに………」







課長はそこで、一瞬言葉を切った。




あたしは黙って続きを待った。







「…………帰りに、駅を出たところで……暴漢に襲われちゃって、ね。

大きな怪我はなかったんだけど。


その子はそれ以来ね、ずいぶん塞ぎこんじゃってねえ……。

同期のみんなで、すごーく心配したんだけど、俺も、なんて声かければいいか、わかんなくって……。


そうこうしてるうちに、その子、心の病気みたいになっちゃって、結局、会社やめて地元に帰っちゃったんだね〜」







課長は何かを思い出すように、緩めた目許で遠くを見ていた。






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