kiss of lilyー先生との甘い関係ー
「今日はどの講義見る?」

 錠剤を飲み干した彼女に尋ねた。毎学期、顔の広いあかりが先輩・友だちから情報収集しておすすめの授業をピックアップしてくれる。

 四年生になったわたしたちはほとんど授業を登録する必要がないけれど、新規二単位だけは落とせないから慎重に決めないと(ちなみに卒業要件が埋まってない人は一年生並みのスケジュールで火の車。わたしはしっかり授業に出ていたし、あかりも出席カードを人に頼んだりしてちゃっかり獲得している)。

「今日はね、コンピューターサイエンス学科のプログラミング基礎」

「情報工学部の? なんでまた」

 あかりのチョイスにしては珍しい。昨日簡単そうっていって受けてみた基礎科学の授業を”わけわかんない”って言ってたんだから。

「それがかっこいいらしいのよ、担任の水樹先生が」

「本当?」

 わたしは疑った。うちの教授陣に混ざったら、大抵の若い先生はかっこよく見える気がする。

「私も見たことないけどさ、もっぱら噂だよ。それに”ザ・イケメン”じゃなかったとしても、おじいちゃん先生よりいいじゃない?」

「それは…否めないわ」

 わたしたちは席を立った。


・・・
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