kiss of lilyー先生との甘い関係ー
 水樹先生と食事をするのは…一方的に食事姿を見るのは始めてだ。

 お箸の使い方◎。お茶碗・お吸い物の持ち方◎。姿勢は常に◎。口に物を入れているときはしゃべらないし、マナーは完璧ね。

「いつもよりおいしい気がする」

 先生がそう呟いたから、わたしは前の定食を確認した。

「でもそれってほとんど毎日頼んでいるやつ、じゃないの?」

 焼き魚に煮物、おひたしにお吸い物に白米。日替わりだけど、そう変わらないだろう。それにわたしの”リサーチ”では、水樹先生は学食でも冒険しないはずだ。先生が日替わり定食以外を頼んでいるなら、日誌を書き換えなきゃ。

「あぁ、いつもと同じものを頼んでいる」

「じゃあ、」

「きみが前に座っているからだと思う」

 ”突然食堂の調理師の腕が上がったとは思えないし、いつもと違う要因は他にないから”とぶつぶつ呟く。

「…」

 口説いているわけじゃないのよね、水樹先生の場合。わたしはあんまり真に受けないようにしながら、日誌の追加事項を考えた。

”激しい天然”
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