kiss of lilyー先生との甘い関係ー

夜の喫茶店

 表通りを先生と手が触れるか触れないかの距離で歩いた。

 チェーン展開しているハンバーガー屋さんを通り過ぎ、交差点を渡り、大型のショッピングモールの方へ向かう。渡ったら、トルコ人がやっているケバブ屋さんと台車のクレープ屋さんの間の道を左に曲がり、その小道を5分も歩いているとその店はある、はず。

 まきちゃんの喫茶店はツタが絡まる一軒家。まるで森の中隠れている小人さんの家みたいでかわいい。ちょっとメルヘンチックね。木の枝で”WELCOME”の文字が作られ、リスやクマの置物が迎えてくれる。

「良かった、」

 水樹先生がわたしを見た。そうだ、伝えておかなきゃ。

「先に言っておくと、まきちゃんは男性が好きな男性だから、狙われないように気をつけてね」

「男性が好きな男性?」

 先生は不思議がったが、会えばわかるだろうとわたしはドアを開けた。
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