夫婦ですが何か?



私と彼は根本から相性が悪いのではないだろうか。


ふとそんな事を思って否定の言葉が浮かばない事実に悲観もしない。


逆に納得するように頷いて、まだ不完全燃焼の熱残る体に下着をつけた。


まぁ、先にいつものパーカーは着ていたのだけど。


その間に玄関に来客を迎えに行った彼が鍵を解錠するや否や。



『Good Night~!!』



二重奏。


息もぴったりに夜に不似合いなテンションの可愛らしい声の。


そして彼の不満げな声。



「朱、藍、煩いよ・・・」


「もう、何で今日はそんな不機嫌~?」


「可愛い妹たちの来訪なんだから喜んでよ~」



そう、妹達。


彼の実の妹の双子の突如の来訪だ。


勿論面識はあって今は自分の義理の妹でもあるわけだから顔を合わせないわけにはいかない。


最後に会ったのって・・・結婚式?


あの時もあまりマイペースな2人とはあまり接触していなかった様な。


そんな記憶の回想をしつつも寝室からその身を出せば、タイミング良く部屋に向かってきていた2人と鉢合わせた。


そして、きょとんとした元の顔が分からないほどのメイクで彩られた2人に見つめられた。


相変わらずモノトーン。


美少女だけども。



「・・・・こんばんは」



会社で稀に遭遇する時の様に淡々と挨拶の言葉を向けてみれば、驚いた表情の愛らしい2人が私の顔から足の先まで視線を下げてまた戻す。


何の確認だろう?と無言で見つめて反応を待てば、同じ顔が同時に見合わせ頷き。


何かを確認したかと思えばくるりと後ろを振り返り、背後で不愉快に腕を組んで立っていた彼に勢いよく飛びかかった。



「っ・・・なっ、何だよ!!」


「最っ低!!」


「お兄ちゃん外道!!」


「あっ!?突然押し掛けるお前らに言われたくない!!」


「押しかけて正解!!」


「本当に最低男!!」


「何だよ!?」



彼に同感。


一体何がどうして彼は掴みかかられているんだろう?


説明すれば本来この兄姉妹は仲がいい。


この姉妹は引いてしまうくらい彼にべったりとするし、彼は彼で呆れつつもこの2人に甘いほど。


なのに、珍しくもいきなり彼に憤りを見せる2人に私も彼も疑問しか浮かばない。


でもその答えはあっさり2人の口から零れ落ちた。



「千麻ちゃんの不在に女連れ込むとか最低!!」


「しかも明らかにお兄ちゃんの服着てるし、エッチな事しようとしてたでしょ!!」


「・・・・・」



さすがに絶句して不動になっている彼を見て私は笑ってもいいところなのか。

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