夫婦ですが何か?
彼女らの指示の元で自分でも呆れるほど細い体に未体験の布地を纏っていく。
あれに似てる。
結婚式のウェディングドレス。
あれも未知との遭遇ではあったけれどこれはまた・・・。
落とした視界に入るひらひらの黒い衣装。
目につくレースに触れてみたり腕を動かしたりして着心地を確かめる。
そう、それがこの服をまとう理由でもあった。
彼女らが自信を持って、珍しく彼に反発してまで作り上げたそれが、見た目だけの不良品であれば彼の意見に賛同しようと思っていた。
でも結論。
「・・・見た目ほど重くない。軽いし動きやすいですね」
そう告げれば彼女らの誇らしげな表情。
顔を見合わせにっこりと微笑むと自慢げに語りだす。
「うん、着ていて不快なものは洋服じゃないでしょ?」
「暑かったり、重かったり、動きにくいなんて言語道断」
「・・・・信念もきちんとおありでお作りになったんですね」
「やるからには勿論」
「2人で着心地からコストまでちゃんと計算してやってるよぉ」
なのにお兄ちゃんは。
そんな風にふくれっ面になる2人と着ている衣装を見つめる。
確かに着心地は悪くない。
色々と2人で考慮してのここまでなんだろう。
そう理解すれば後はやる気と需要と供給の問題。
そうどこまで通用するのかは蓋を開けてみなければわからないのだ。
「・・・・まぁ、着心地の良さは保証しましょう。お兄様にもそう助言して後押ししてもいいですよ」
「本当!!」
「ありがとう!千麻ちゃん!」
「でも、それでこの服の良さが通用するかはわかりませんよ?あとは2人の努力と宣伝力にかかっーーー」
最後まで言い切れなかったのは両サイドから自分の腕に彼女らが絡んできたから。
目的も済んだし自分には不似合いな衣装を脱いでしまおうと手をかけていたタイミング。
驚いて両者を交互に確認すれば、視線が絡むとにっこりほほ笑む白と黒。
「・・・・宣伝」
「いい宣伝板ゲット?」
「・・・・・・・・は?」
「私と藍ですでに注目集めるのに」
「その2人が作ったお洋服って事で更に注目」
「しかもそれを着ているのが更に目を引く美女だったら・・・」
「成功したも同じだと思わない?ち・ま・ちゃん」
そう言って二人の指先がほぼ同時に私の頬をツンと突く。
誤魔化しようもなくそのマネキンドールが私だと示した表示に、やはり余計な口出しをしなければよかったと後悔。
かといって逆らうすべもなく、にこやかな2人に捕まり座らせられると着せ替え人形のように髪や顔まで彼女らに遊ばれた。