夫婦ですが何か?
ーーーーEARLY MORNINGーーーー
ベッドの中で眉根を寄せての不快感。
決して体の不調とかではなく感情面でのそれ。
ムッとしながら自分の体温が保温された布団に素肌の体を包み込んで、不快の元凶である目の前の姿を睨みつけた。
【彼】のせいで小刻みに振動伝わるのもまた苛立つ元凶である。
「・・・・っとに、いつまで笑ってる気ですか?」
「ごめっ、・・ぶっ・・あははは、っーーーくくっ・・・」
「・・・・・・息の根事止めて差し上げましょうか?」
「ごめっ、だって・・・だってさぁ・・・ははっ、千麻ちゃんってばネーミングセンスなさすぎなんだもん!!あはははは・・・」
脅しをかけようがどうやら今は笑気が勝ったらしい彼、すでに涙目で未だにその笑い声を響かせる姿に諦めと不貞腐れた感情で背中を向ける。
さすがにその反応を目の当たりにすればまだ僅かに笑いを名残に背中から絡み付いてくる熱。
そのままギュッと抱きしめてきて何とか笑いを抑えるとなだめるようにじゃれついての猫撫で声。
「千麻ちゃーん・・・、ね?怒らないでぇ?今日は楽しいデートの日じゃない?朝から喧嘩なんて寂しいよハニー」
「私を馬鹿にして不愉快にさせたのは誰だったかしら?ダーリン」
「だって・・・ププッ・・・」
「ダーリン・・・」
「あの愛らしいチビクロちゃんに【ぴょん吉】はないでしょう?」
何とか震える声で言い切って、それでも限界とばかりに再び笑いだす彼。
耳に響くその声に更に眉根を寄せるとさすがに小さく羞恥心も疼いてきた。
何てことない。
2人して目が覚めて、それでも時間早く起きるのもなんだとベッドで他愛のない会話。
その流れで昨夜彼が誕生日プレゼントとして新たな家族に招き入れた小さな黒ウサギの名前を考えていただけの話。
そして露見した私のネーミングセンスに見事彼がツボにはまっての大爆笑。
それがこの現状。
【ぴょん吉】・・・いいじゃない。
的を得てるじゃない。
ウサギは跳ねるんだし私の発想は悪くない筈なのに。
何がいけないのかと口をへの字に考え込み、これはどうだと第二案。
彼がさっき口走ったそれをもじっての良案だとはっきりその響きを口にした。