夫婦ですが何か?
「安くて可愛いわダーリン」
何だよそれ。
僅かにムッとして口を開きかけて、
ああ、それさえも彼女の巧みな間とタイミング。
「そんなところが・・・・好きだけど」
敵わない。
落として、絶妙な間であげて。
クスリと小馬鹿に笑うその表情すら魅力。
そんな千麻ちゃんの意地の悪くてどこか甘い策にさ・・・・、もうどっぷりはまって依存して・・・。
傍になくちゃ生きられないと思うほど・・・・。
そう言ったら・・・・また馬鹿にして笑うんだろうね。
でも・・・馬鹿にしていいから今小さく願望を口にしていい?
「っーー」
「茜ーーーーー」
俺が声を発するべく唇を動かしたタイミング。
ねぇ、それすらも読んでのそれ?
本気で今・・・・・名前を呼んでほしかったんだ。
探って見下ろしてもすでに情事の熱に身を任しての彼女は微睡んで俺を見上げて目を細める。
今ほど俺の名前を紡いだ唇が艶やかで誘惑的で・・・。
「・・・・・・・・・・・茜・・・・」
敵いません。
俺を完全に理解して先まわって予想以上を与えてくれる千麻ちゃんには。
「・・・・・・千麻・・・」
一生それでいい。
敵わなくて、振り回されて、馬鹿にされてそれでいい。
だから・・・・・家族でいて・・・。
このまま俺の奥さんでいて・・・・。
ねぇ、その【夢】は・・・・確率何%の実現可能な夢なのかな?
成り行き任せ・・・。
「あっ・・・・・・・イきそう・・・・・・・・」
とりあえず、
今目の前で手の届きそうな夢に賭けてみるよ。
【成り行き任せに】
名づけるなら・・・・・夢一夜。
初めて勝敗が分からない賭けに乗った日。