夫婦ですが何か?




ーーーONE NIGHTーーー





スルリと遠慮がちに絡みついてきた手。


だけども触れてしまえば抵抗も無くするすると前に回って、それに溜め息をつけば何をどういい方に理解したのか首筋に触れる唇。


いつ引き剥がしてやろうか?


そんな事を思案しながらもとりあえず手に持っていた食器だけは洗いきってしまいたいと付着していた泡を水に流した。


瞬間・・・。



「・・・・セクハラです」


「服の上からのノーブラ感触・・・最高だよハニー・・・・」


「感触と言うほど男心くすぐる胸の膨らみでない事は重々承知よダーリン」


「うん・・・ちっちゃい」


「露骨ですね」


「でも気にしてないでしょ?」


「はい、微塵も」



胸の大きさで人生に大きく作用するというのなら騒ぎも焦りもするのだろう。


だけどたかだか男が悦ぶ要素となるだけのその価値。


他の人は知らない。


でも私にはその程度の意識なのだ。


だから嘆くでもなくバストアップする様な下着に執着もない。


だから歴代の元彼に不満を口にされても気にも留めていなかったし、結局男はこんな脂肪の塊が好きなんだぁ。と思っていたのに。


例外もいるんだなぁ。


背後に。



「いつまであからさまなセクハラを?」


「セクハラじゃないでしょ?夫婦の営み?」


「こんな掌がすかすかする様な胸を揉んで楽しいですか?」


「楽しいって言うか・・・、欲情?確かに小さいのにちゃんと柔らかいじゃん。やっぱ男とは質が違うよね?」



言いながら私の首筋に軽く歯を立てクスリと笑う。


服の上から微々たる胸の存在を確かめるように揉み上げる手がそれなりに刺激によって反応した部分をキュッと摘まんだ。


欲求不満なんだな。


瞬時にそんな結論が出て深く溜め息をついてしまった。


そう、よく考えてみたら彼は1年近くは純潔と言えるのではないだろうか。


婚約者である彼女にあの1年何かしているとも思えない。


そしてそのまま彼女から私に切り替わり、その辺はさすがに弁えて常識的な彼は他の女と関係を持ったりしない。


つまり・・・・、そろそろ欲求不満の限界?発情期?


その答えを立証するかのようにスルリと太ももまで降りた手がすぐに彼の物であるパーカーの裾から入り込み素肌の腹部を滑った。




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