夫婦ですが何か?
「あげた2つ以上の自分の不備は思い当りません」
はっきりとそれ以外は怒られる要素はないと告げると、ようやくそのグリーンアイがまっすぐに私の双眸を見つめてくる。
鋭く疑う敵意の眼差し。
だからこそ挑むように見つめ返して威圧する。
「じゃあ・・・千麻ちゃんがこんなに遅れた理由は何?」
「・・・・雛華さんのところに行ってました」
「こんな長時間?いったいどんな話に花が咲いてたんだろうね?そんなに雛華は仕事の内容に分からず屋だった?」
「・・・・少し、体調不良で休ませていただいてました」
「・・・・・そんな事、雛華は言ってなかったけどね」
「・・・・・」
「一体・・・・千麻ちゃんはどんな嘘をついてるんだろう?」
ここに来てニッと上がった彼の口の端。
でも決して好意的な物じゃない。
嫌味な。
攻撃的な。
だからこそ負けじとこちらも態度が硬くなる。
「私が・・・嘘を言っているとでも?」
「じゃあ、嘘はない?・・・・・嘘は・・・つかない?」
「はい」
「・・・・・ねぇ、雛華の家で体調不良?それはいいよ。分かった認めてあげる」
「嘘じゃありませんから、」
そう嘘じゃない。
確かに体調不良だったんだから。
だからこそ挑む形を変えずに彼に対峙して彼の不機嫌にも怯むことはない。
ふぅん。と一言。
ギシリと背もたれに身を預けた彼が足を組んで私を睨み上げる。
感じが悪い。
寄っていた眉根を更に寄せた瞬間。
「雛華の家からここまで・・・まっすぐに帰ってきた?」
「・・・・・少し・・寄り道を」
「寄り道?」
「コンビニで飲み物を買って飲んだり微々たる物です」
ああ、嘘の一つ目。
でも、些細な物。
ただ妊娠を話すタイミングでも場所でもないと考慮しての。
彼のグリーンアイが探るように見つめる。
でもまだ後ろめたいことはない。
だからこそまだまっすぐに見返せる。
「じゃあ、・・・雛華に会った後・・・千麻ちゃんは寄り道はしたけどまっすぐに帰って来たと、」
「はい、」
「誰に会う事もなく、まっすぐに・・・・」
「はい」
「・・・・・・・・・・そう、・・・・よくわかった」
そう言って下を向いた彼の顔。
分かったと言いつつどこか落胆したような響きに聞こえたのは気のせいだろうか?
そんな疑問は次の瞬間に彼によって答えを告げられる。