夫婦ですが何か?
彼のこういうところが狡くもあり、でも好きなところでもあった。
でも・・・まだ触れることを許さない体。
呪いみたいだ。
皮肉に口の端をあげて微笑んで、それでも明日からはこの店に通うのはやめようと決意し体をPCに向けキーボードに手を置いた瞬間。
「・・・っーーーーーー、
・・・・・・・・・・・・・・・・・クソガキ」
マジで殺してやろうかと思うほどの衝撃。
一瞬目を疑ったそれに慌てて確認したUSBメモリ。
当然差し込まれたそこには存在せずに、多分現在は彼のポケットかどこかだろう。
「立派な犯罪者じゃない・・・・」
苦々しくさっきの彼の余裕の正体を理解して眉根を寄せる。
大したデータでないのなら別に放置してもいい。
でも違う。
あれは恭司の会社の重要案件も含まれたデータ。
紛失したとか言ったら恭司自体に迷惑がかかる。
ただでさえ居候させてもらっているのに迷惑かけてどうする私。
そう思って振り返っても時すでに遅し。
求めた姿なんてもうどこへ行ったか雑踏の中だ。
つまりは選択肢は一つしか用意されていない。
『・・・・・千麻ちゃんは俺に会いたくて明日もこの店に来るよ』
本当、
あなたのそうやって強引に自分のペースに巻き込むところが6年前からずっと腹が立つの!!
どうにもならなくなった事態に憤りで鼻を鳴らすと椅子にドスンと音がしそうな程乱暴に座って、ただ一つ残された彼のコーヒーをゴクゴクと飲み干して込み上げる怒りを流し込んだ。