夫婦ですが何か?
キスって・・・。
毎晩寝顔にキスって・・・。
どんだけピュアなのよダーリン。
想像しただけでこっちも見事羞恥に染まるわよ!?
今更そんな純情っぽい行為を繰り返されていたなんて知らず、追い詰めて吐かせてしまえば見事自分がしてやられた。
咄嗟には照れ隠しのように揚げ足取りで誤魔化したけれど上り詰める羞恥心が限界だと悟り、すかさず本音を暴露すると先手を打つように唇を重ねて。
息が混じる。
あっ、少し・・・久しぶり。
でも・・・そうか・・・久しぶりじゃなく、知らないうちに毎夜していた事なのか。
ああ、狡い・・・。
私なんかの焦らしよりよっぽど卑怯で効果が強いわよダーリン。
濃密にしっとり柔らかく唇を重ねてお互いの呼吸を貪っていく。
キスが深まれば体の密度も増して、ゆっくり波紋を広げながら彼の首に腕を巻きつけ、胸の距離を隙間なく埋めた。
浴室は音が反響する。
漏れる息や唇同士が響かせるリップノイズが反響し、扇情差を増して自分たちに跳ね返ってきて。
「・・・っ・・・すっごい、したい・・・」
最初に響いたのは彼の切なげな声。
その響きにさえゾクリとし、まだ触れそうな程に近い唇を感じながら至近距離でグリーンアイを捉えて見つめる。
「下手に・・・千麻ちゃんが起きてる時にキスしたら・・・抑制きかないと思って我慢してたのに・・・」
「で・・・眠り姫にキスなんてメルヘンな王子気取りですか?」
「だって俺、千麻ちゃんの王子様でしょ?」
「・・・・・王子でもその腰に金貨を大量に携えた人でなきゃ起きません」
「おうっ、・・・複雑で皮肉にもその点は突破だよハニー。千麻ちゃんと翠姫を路頭に迷わすような経済力では決してないよ」
そう言って苦笑いでお金持ちアピールをした彼が再び唇を寄せたのにすかさず後退。
スッと肩すかしくらったように『何で?』と視線を向けてくる彼に更に唇に指先でガードし。
「愛情見えなきゃもっとお断りですよ?」
「これ以上?!」
「【これ以上】?最近は随分愛情薄い仕打ちを受けておりましたが?」
よく考えろ。と目を細めて促せば、どうやらすぐに思い当ったらしい彼が困ったように笑うと自分の唇に触れていた私の指先を静かに退けた。
「千麻ちゃんのごはん食べたいです。・・・・毎晩、絶対に・・・」
「・・・・今日のはもう捨てました」
「っ・・・ごめん・・・」
「・・・・・嘘です。・・・そう簡単に食材を無下にしません」
「意地悪・・・」
「私の努力を無下にしたのが悪い」
「・・・うん、・・許して・・・」
再び寄った唇。
許しを請うようにゆっくり近づいたそれに口の端をあげて、
・・・直後に指先を滑り込ませた。