Je te aime ~愛しき人よ永遠に~
正式なやり方で、ゲームは始まった。
利き手じゃなくても、マスターはプロだ。先手を取られた。


カーン!!


グリーンの上を玉は正確克スピーディにポケットに次々入ってゆく。


私は一手も打てずに負けるのかも。
そう考えると震えた。


ミスショット。
私の番になった。グリーンの上には8番と9番のボールのみが残り、白い玉は9番ボールの先の8番ボールを狙わなければならない。


ここで私がミスを犯すと確実に負ける。
それは絶対避けたい。
テーブルを何度も周り角度を見極める。


普通に打ったら当たるがポケットに入らない。
ボールにカーブを付けてサイドポケットに入れるしか方法が無い。
しかし、私はまだその方法を完璧にマスターしていなかった。


しかし、やるしか無い。
私はテーブルに上半身を乗り上げキューを立てた。


カーン!
ボールは綺麗なカーブを描き9番ボールを避けて8番ボールに当たりサイドポケットに沈んだ。


勝負はついた。
マスターは笑って言った。
『腕を上げたけど、そんなに一晩付き合うの嫌だったの?』


私は安心感でホッとしながら答えた。
『マダムがいるじゃないですか。それにただのお遊びでしょ?』


するとマスターはすまして言った。
『奈穂子は付き合ってくれたよ。』



私の笑顔が固まった。


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