悲劇の姫〜海賊になった少女〜
「ユリジュス、今日はエスコートしてくれるのよね」
「はい」
馬車から降りるとき、さっと手を出されたことに笑がこぼれた
「今日は何か騒がしいわね!」
トレニアがカウイの腕に自分の腕を巻き付けながら言った
「隣国のルイ王子が、来るとか言っていたような気が……」
嘘でしょ?
「…それって、バウスフィールド王国秘密の王位検証者……第一候補ルイ王子の事?」
「姫、詳しいですね」
不思議そうに顔を覗き込むユリジュスに
「ごめんなさい、用事を思い出したわ」そう言って騒ぎの方へ走り出した