生きることの意味【完結・加筆完了】



「お疲れ!今日はこれで終わり」

「お疲れ様ですー。ミレ、ポラ見せて見せて」

「ん~、ほらこんな感じ」


緋人はすぐにミレに近寄ると、パソコンの画面を見て何かをチェックしている。
それからあたしの方を振り向いて手招きをした。


「杏奈、おいでおいで」

「うん」



そっちに歩いて行き、一緒に画面を覗き込む。
どうやら、今撮った写真らしい。


サマになってる姿に思わず、ほうと感嘆の声が漏れた。


「杏奈、どれがいいと思う?」

「え?えっとね…、これ」



あたしは一枚の写真を指差した。
それはさっきの衣装で撮った、満面の笑みの一枚。


この緋人はどちらかといえば、モデルの緋人よりも普段の緋人に近い気がする。



「こっちの方がカッコいいと思うんだけど」



そう言って緋人が指差したのは、鋭い視線を向けている写真だ。
確かにカッコいい。


でも。


「これはモデルの緋人だから」


そう、思った。
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