不純な理由で近づきました。



イリアさんたちの迷惑のお詫びと我が儘に付き合ってくれているお礼、ということで、カインくんがお茶をご馳走してくれた。


そして、せっかくなのでいっしょに庭を見に行くことになった。



「へぇ、さすが老舗旅館。すごいね」


「はい。とっても綺麗……」



こんな庭を実際に見ることになるとは。


イリアさんたちに感謝だ。


少し歩くと石造りのベンチがあったので、カインくんと並んで座る。


ひんやりとした石の冷たさが気持ちよかった。



「そういえば、会ったときに思ったけど、その浴衣、六花ちゃんっぽいよね」


「そうですか?」


「うん。よく似合ってる」



自分ではよく分からず、思わず首を傾げる。


真っ白だと思っていた浴衣は、実は菫が描かれていて。


合わせたように帯の色も濃い紫。


ちらほらと散らばる黄色が蛍のように見える。



「うーん、これは恭に言ったら怒られそうだ」


「?」



どうして恭くんが怒ることになるのだろうか。


キョトン、としてカインくんを見るけど、六花ちゃんは気にしなくていいよ、と言われ。


そう言われると気になる、と思いながらも頷き、手に持っていたペットボトルのお茶を1口飲んだ。






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