嘘を重ねて。




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雨の日は憂鬱だ。



“ザーーーーー……”



「ん…雨…」

雨音で目覚めると
時計はもう夕方4時を指していた

どうやら朝帰ってきてから寝ていたらしい


まだ痛みの抜けない身体を起こして
風呂へと向かった


“サァー…ザ…”

“キュ…”


シャワーを止めて鏡をふと見ると
身体には沢山の赤い花が散っていた


「珍しい…タクが跡をつけるなんて…」


その1つ1つを手でなぞりながら
小さく呟く


タクは束縛を嫌う。
だから私に跡をつけるような事は
これまで一度も無かったのに…


「気分…だよね、きっと。」


そう自己完結させて
身体の跡から目を離した



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