ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
ふんふんと鼻歌を歌いながら、
キーボードをカタカタ言わせて、
SDカードに記録された情報を、ノートPCに取り込んでいた。
作業時間は2分ほど。
黒川は笑顔でこう言った。
「確かに本物。BX-091の研究データはいただきだ。
こんなの開発できる久遠は凄いよな。
凄いけど、奪われたら意味ないね。アハハッ!」
広くはないシングルの客室に響いた高笑いは、
その後すぐに驚きに変わった。
「アハハ……はあっ!?」
黒川は強い焦りを顔に浮かべ、
慌ててスマホとノートPCを繋ぐUSBケーブルを、引きちぎるように取り外した。
それからキーボードに指を走らせていたが、
やがて壊れそうな勢いでバンバンと叩き始めた。
「何だよこれっ!
止まれ!頼む止まってくれ!
クソォォッ!!」
私には何が起きたのか分からなくて、呆気に取られるだけだった。
私はそんな感じだが、男三人は分かっている雰囲気だ。
堂浦さんは膝を叩いて大笑いしているし、
にょにょ村部長は、小躍りしている。
久遠さんは……
してやったりという悪い顔して、
ニヤリと笑っていた。