ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
久遠さんはコートのポケットに手を入れて、ジッと確認作業を待っている。
にょにょ村部長は、久遠さんの陰から顔だけ出して、黒川の様子を見ていた。
堂浦さんは私の横でベッドに座り、頭を撫でてくれる。
私はガックリと肩を落としていた。
私が馬鹿なばかりに、久遠さんの大事な研究データを渡すことになってしまった。
申し訳なくて、何と言っていいのか分からない。
ごめんなさいなんて、チープな謝罪では済まないことをしてしまった。
私はもう駄目だ。
久遠さんのマンションを出るしかない。
ずっと側にいたいけど、それは許されない。
私にできることは、二度と迷惑をかけないように離れることだけ……。
皆の視線が集まる中で、黒川はSDカードをスマホに差し込んだ。
そのスマホをUSBケーブルで、ノートPCに接続している。