ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
数分後――。
完全に戦意を消失し、抜け殻状態の黒川を残して、
皆で一緒に部屋を出た。
まだ夜が明けていないホテルの廊下は、シーンと静まり返っている。
堂浦さんが声のボリュームを落として、私を叱った。
「夏美ちゃん、これに懲りたらお見合いなんてやめなよ?」
「はい。
ご迷惑おかけしました」
お見合いなんて、もう懲り懲り。
多くの結婚相談所は、真面目にまともな人を紹介してくれると思う。
今回みたいなことは普通じゃない。
そう分かっていても、一度怖い思いをしたら、お見合いはもう嫌だと思ってしまう。
皆にも迷惑かけたくない。
十分反省しているつもりだが、
堂浦さんは言い足りないみたい。
「今日の俺ッチ、ナースと合コンしてお持ち帰り途中だったんだよ?
ラブホ前で久遠から緊急呼出しかかってさぁ。
大変だったんだから、感謝してよねー」
「はい……
心から感謝します。本当にごめんなさい」
「まぁ、久遠の大変さに比べたら、俺ッチなんて大したことしてないけど。
久遠のあんなに焦った顔、初めて見た。
犯罪スレスレで必死に捜索する久遠に、俺ッチまで胸キュンしちゃった〜!」