ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
愛されているのかという疑問は、
心で問い掛けている内に、どんどん黒い枝葉を広げて多岐に伸びていく。
堂浦さんが、私の顔前で手を振っていた。
「おーい夏美ちゃん、俺ッチの話聞いてよー。
久遠は性格的に分かりにくい奴だけど、
ちゃんと愛情があるのは俺ッチが保証するから。
聞いてる? 聞いてないよね?
困ったな……。
頼むからお見合いした時みたいに、間違った方向に走らないでよ?」
スマホのアラームがピピピと鳴った。
休憩時間の終了。
庶務課に戻って仕事しないと……。
バッグを持って立ち上がる。
フラフラとした足取りで、休憩所を後にする。
心の中は不安がいっぱいで、
付箋だらけのブライダル情報誌を置き忘れていることさえ、気づいていなかった。