ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
上手く振り切ったつもりが、先回りされてしまった。
それでも、大人しく帰るつもりはない。
彼を睨み上げて、こう言った。
「私、帰りませんから。
今日は街で遊ぶと決めたんです。
無理やり連れ帰ろうとするなら、
痴漢だって叫んでやります!」
睨む私に久遠さんは、静かな視線をぶつけていた。
数秒して、彼は長く細い息を吐き出した。
どうやら、私の決意を変えるのは不可能だと悟ったらしく、
連れ戻す以外の手段に出てきた。
彼が言う。
「分かった。どこにでも行けばいい。
ただし、俺も付いていく。
遊びに行くと言いながら、社内の誰かと密会するかも知れない。
監視はするからな」