銀狼の涙
*02・母の死*
「ヴィアラ様・・・!!」

城の中庭で花を摘んでいたヴィアラの元へ、一人の女中が来た。

「どうしたの、キーラ・・・?」

「王妃さまが・・・!!」

「お母様がどうしたの・・・!?」

「魔狼に噛まれて・・・!!」

「キーラ、すぐにわたしをお母様のところへ・・・!!」

ヴィアラは城の中へと急いだ。

***

「お父様・・・お母様・・・!!」

「―ヴィーリィ、ヴィアラだ。」

母・ヴィーリィはやつれていて、息をするのも苦しそうだった。

「ヴィアラ・・・わたしはもうじき死ぬわ・・・魔狼は強い毒を持っているもの・・・。」

「何をおっしゃるの、お母様・・・!!」

「―わたしが死んだ後、魔狼たちを責めないで・・・。」

「いや・・・生きて、お母様・・・!!」

「可愛いヴィアラ・・・強くい、きて・・・。」

エリーヌは目を閉じたまま、ぴくりとも動かなくなった。

「お母様・・・?」

どんなに揺すっても、母が目を開けるはずもなくて。

「いやっ・・・お母様・・・!!」

母の肩を何度も揺する。

「やめるのだ、ヴィアラ・・・。」

父王・エドウィンが彼女を抱きしめた。

「お父様・・・!!」

だが―泣きじゃくる娘を抱きしめる彼の瞳(め)にも、最愛の妻を喪った悲しみの涙が溢れていた。

『忘れないで・・・わたしはいつまでも、あなたとヴィアラの心の中で生きているのよ・・・。』

ヴィーリィの香りがふわり、と香り―

つかの間、見えた。

―・・・微笑む、彼女の姿が。
< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop