銀狼の涙
*03・望まぬ結婚*
母・ヴィーリィが死んで十数年―・・・。

まだ幼かったヴィアラも二十歳になり、母と生き写しの美貌をもつ女性へと成長していた。

「ヴィアラ様・・・陛下がお呼びですわ。」

「お父様が・・・?」

「はい。すぐ来るようにと仰せです。」

「分かったわ・・・すぐに行くわね。」

ヴィアラは父・シリウスの部屋へ向かった。

***

「お呼びですか、お父様・・・。」

「―ヴィリアス子爵・・・娘のヴィアラだ。」

父とそこにいるその男は、漆黒の髪にエメラルドを思わせる緑の瞳をもっていた。

「初めまして・・・姫君。」

『ヴィリアス子爵』と呼ばれたその男は、ヴィアラの白い手を取り、口づけた。

「お父様、この方は・・・?」

手の甲にキスされながら―困惑したような表情(かお)で、父王に問いかけた。

「おまえの結婚相手だ。」

「え・・・?」

「お前も年頃だろう、いやだとは言うまい。」

「―分かったわ、お父様・・・。」

「そうか、結婚式は明日だ。準備をしたらいい。」

「ええ・・・。もう行くわね、お父様・・・。」

ヴィアラは私室へと向かった。

***

「ヴィアラ様・・・よかったのですか・・・?」

「ドレスを用意しないといけないわね・・・。」

「ヴィアラ様・・・!!」

「そうよ・・・わたしにとって、これは望まない結婚よ。」

「ではどうして・・・?」

「お父様はわたしの幸せを思って結婚を勧めているはずだもの・・・。」

「―仕立屋を呼んで、ディーナ。」

「はい、ヴィアラ様。」

***

仕立屋にウェディングドレスを注文し、その日は過ぎていった。
< 5 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop