水平線の彼方に(下)
Act.9 噂
残りの夏休みが過ぎて行くのは早かった。
夏休みの終わる三日前まで、伯母さんの家でバイトをして過ごした。


「来年も頼むね」

来年は下手すると受験生だというのに、伯母さんはお構いもなく予約した。

「お兄ちゃん達が来るならしてもいいよ!」

一人でバイトをするのはやっぱり大変だった。
お兄ちゃんや花穂さんがいた時が、どんなに楽しかったか後で分かった。

バスを乗り継いで一時間。自分ん家に近いバス停に下り立った。

「ただいま…っと!」

バスステップから下りる時、声に出して言った。
それからLINEで帰ってきたことを知らせた。

『バイト終了!ただいま!』

直ぐには既読されないと思ってたけど、あっという間に一人、返事があった。

『お疲れ!もうすぐ二学期だぞ!宿題終わらせたか?』

子ブタのキャラ。ジョーリだ…。

『まだ半分残ってる!お願い!手伝って!』

バンビでお返し。今まで通りに…というアドバイス通り。

『私もまだなの!皆でやろうよ!』

見慣れないヒツジ。

「…芽里(めり)…⁈ 」

オドロキ。芽里がLINEに参加するなんて初めてだ。


何も知らなかった。その時は。

私が一人、異邦人でいる間に、周りがコロッと変わってたことを。

< 35 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop