君の世界
4WDのBMの助手席に乗り、手にはホテルのサンドイッチを握らされ寮までの道をまどろむ。
何も告げなくても迷わず走る真中に、また身辺調査をされた事が分かる。
「君の寮の寮長には気を付けなきゃ駄目だよ?」
寮の前に横付けして、真中は言う。
「…ああアレはキショイよ…」
嫌そうな僕の顔に安心したように笑う。
「じゃあ幸雄君だけに心を開いているんだね?」
嫉妬を含んだ顔と声
「幸雄はゴツクてイカツイから便利なんだよ。あいつがいると道も迷わないし…」
嫉妬だろうがなんだろうが真中に興味を持たせると、後々面倒になる。
「今度はもっとゆっくり会おうよ?」
話しを反らした。
途端に真中は嬉しそうな顔をする。
「ああ…また連絡するよ。」
やっと解放されて部屋に帰った時には、日付が変わる直前だった。