君の世界
ずっと来れなかった母の墓前に立ち周りよりも綺麗に保たれている事に違和感を感じる。
「息子さんだね?」
寺の住職が穏やかな笑顔を浮かべて立っていた。
「あっ…あのヒマワリを…母の好きだったヒマワリを墓前にたむけたくて…」
「いつもの先生は一緒じゃないのかな?」
「いつもの?」
「おや?知らないのかな?確か…」
「…真中先生ですか……」
「そうそう ちょっと変わった名字のね。」
「そうですか…いつもありがとうございます。母のお墓を綺麗にしていただいて…助かります。」
頭を下げた僕に住職は墓を綺麗にしているのは真中だと言った。
住職の後ろ姿を見送りながら、僕は真中との決別について気持ちが揺れる。
「僕らしくないな…」