小悪魔的な彼と悲観的な彼女


そう。そう思ったから、もう別れようって決めた。何も詮索する事無く、後腐れなく綺麗に終われるようにって…それが私達の一番だって。…でも、


「…だけどね、さっきの拓也君を感じたら…もしかしたら…って、思っちゃって」

「…え?」

「もしかしたら拓也君は今、本当の気持ちを私に言ってくれてて、私と別れるのをこんなに怯えてるのかな、なんて思ったりしちゃって…」


間近で感じた震える声に、冷たい手のひら。拓也君のそれこそ隠しきれない拓也君の感情だと思った。怖いという言葉を本物だと裏付ける、明確な証拠だと思った。私の傍に居たいというその言葉は、正しく真実なのだと。


「だから、最後に話そうって。本当はそんなつもりは無かったし、もうそんなの意味が無いと思ってたけど…でも、今の拓也君となら聞きたいし話したいって、そう思ったんだ」

「……」


拓也君の瞳がジッと私を見つめる。まるで私の中に希望を見出したような、そんな表情で。


「お願い…最後に聞かせて?拓也君の事を、拓也君の口から」


君の口から、聞きたい。

そんな私の言葉に拓也君はそっと、目を伏せた。

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