201号室の、オオカミくん☆





「葵、居るー?」

梯子を登り、顔だけを出して屋上を見渡しても見当たらない。

まだ来てないのかな?


という事は、あの葉瀬川さんって方と鉢合わせしちゃわないかな?


匿ってるとか探してるって言ってたから、葵は家に帰ってないのかな?


探しに降りようと歩いていると、

「おっ苺柄」

「!?」



お尻に当たるのは――……。



『葵!』


「どうしたのー? 小声で」


「良いから! 早く上がって」


中に短パンを仕込んでいるから、苺柄だと分かるはずないのに、何を言うかとスルーしつつ、葵を二階へ引っ張り上げた。



「身を低くしてっ」

「何の遊び?」


「良いからっ 葵に質問があるの」

「髪結びながらでも良い?」


葵は呑気に、ボサボサに伸びた髪を後ろに引き寄せる。ゴムを口に咥えた姿はちょっと格好いい。
< 132 / 428 >

この作品をシェア

pagetop