倦怠期です!
週明けの2月15日、私は特約店研修に参加した。
開催場所は東京だ。
タハラの千葉支店にいる、同期の牧さんには、残念ながら会えなかった。
今回の研修は、冷熱の特約店が対象で、千葉支店には産業部がない。

研修は15日の朝10時から始まって、16日のお昼に終わる。
だからなのか、参加者は全員、東京のカンナギ冷熱近くにあるホテルに、1泊することになっている。

シーズンになる夏場は、メーカーの製造が追いつかなくて、エアコンが不足することもある。
そういう時は、メーカーに発注しておいて、在庫を持っている特約店さんに貸してもらう。
そして、メーカーに発注したエアコンを、貸してもらった特約店さんに返すことを、「融通」と言っている。
シーズン中でも融通は滅多にしないけど、近場の特約店同士、仲良くすることはいいことだと思う。

今回の研修は、営業事務をしている人が参加対象だったので、来ていたのはみんな女性。
19の私が最年少だったけど、年齢もみんな近かった上、ホテルに一泊とくれば、研修というより修学旅行みたいなノリで、お風呂から上がった後は、同部屋だった他の3人と、夜遅くまでおしゃべりして盛り上がった。
ホント、倉本さんが言ったとおり、この研修は、商品の説明より、他の特約店さんと会って交流を深めることがメインだったなぁ。

行きと帰り、私は藤沢支店の松田さんと一緒だった。
しかも帰りは、研修で仲良くなった人4人も交えた計6人で、品川駅近くのカフェになだれ込んだ。
そこでおいしいコーヒーを飲みつつ、ケーキを食べて、またワイワイおしゃべりをして。
午後4時過ぎに、ようやくバイバイした。

31歳の松田さんは、高卒でタハラの藤沢支店に入社して以来、冷熱3課と、施設3課、そして医療3課の事務をしている。
私から見たら、かなりのベテランさんだ。
でもお局みたいにトゲトゲしてなくて、ほんわかした雰囲気を漂わせた、とても優しい人だ。
それでいて、きちんとお化粧しているし、ベージュのトレンチコートを颯爽と着こなしている姿には、女性的なカッコよさを感じる。
松田さんは、「こういう人になりたい」みたいな憧れを抱かれる人。
そしてこういう人を、「できる女」と言うんだろうなぁ。

列車内で松田さんから、仕事の心構えとか、流れとか、ためになる話をいっぱい聞いた私は、松田さんへの憧れ度がますます増していった。
結婚せず、一人で暮らすなら、手に職を持っていたほうがいいかなと、最近考えるようになっていたけど、特に資格を持っていなくても、今いるタハラでの仕事を一生懸命こなして、自分のモノにすること。
そうして、仕事に対する自信を身につけておけば、タハラに限らず、どこの企業に行っても重宝がられるよという松田さんの意見に、私は深く感動した。

「楽しい研修でしたね」
「ホント・・・あれ?有澤くんじゃない?」

と松田さんに言われた私は、松田さんが見ている方向を見た。
あ、確かに。あのカッコいいサル顔は、有澤さんだ。

そして有澤さんの隣にいる女の人は、誰?

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