倦怠期です!
うつむいて、手をよじりながら、「あなたを品定めするように見ていたのが気に入らなかったの」と言うこいつを、俺はニマニマしながら見ていた。

なんだよ。やっぱこいつ、妬いてんじゃんか。
てことは、だ。
俺は見ず知らずの男に妬く必要ないってことだよな?

「分かった。つまりおまえは、職場で俺に会うのが嫌じゃなくてー、俺たちがイチャついてるところを・・・」
「イチャついてないでしょ!」
「へいへい。じゃーあー、仲いいところを、職場の人たちに見られたくないんだな?」
「仲いいっていうのもちょっと違う・・・」とブツブツ言ってる嫁に、「特に女性には」と俺は念押しした。

「うん。まあ・・・。あれこれ要らない想像されたくないじゃ・・・・・・」

こいつの恥ずかしがってる顔見てたら、もう我慢できん!
と思った俺は、気づいたらキスしていた。
嫁は目を見開いて俺を・・超至近距離にいる俺を見たが、やばいとでも思ったのか、すぐ目を閉じて俺から離れようとした。

だが、そうはさせるか。

俺は右手でこいつの後頭部を、左手は背中に手を回して、すかさず動きを封じる。
ドンと押してきたこいつの両手は、俺の胸板に押しつけたまま、身動きが取れない。

「んっ、ちょ・・何、すんのよっ!公衆の面前で、しかも、ここ、私の職場・・・」
「続きは今夜」
「・・・は」


ゼーゼー息を継ぎながら、涙目で俺を見るこいつを見てると、今すぐ「続き」をしたくなる。
だが今は我慢、我慢。
じゃないと逮捕されちまう!
公衆の面前でも、嫁がキスに応えてくれたことで、この場はひとまず満足しておこう。

俺は疼く中心をなだめながら、「だからおまえは妬かんでいい」と言うと、車の方へと歩いていった。
「だから!妬いてないって言ってるでしょ!」と叫ぶ嫁の声が後ろから聞こえて、プッとふき出しつつ。

・・・しかし、嫁の職場の人たちは、意外と鋭いかもしれん。
なんせあいつとは、月一どころか、2・3ヶ月に一度しかしてないからなぁ。
俺としては、週一大歓迎!いやいや、毎日でもオッケー!なんだが・・・あいつはあんまりしたがらないから、無理強いさせたくない。

結婚して20年経っても、嫁に対してなお、エロい欲望が留まらないのは、なぜなんだろう。
・・・好きだからに決まってるだろ!

俺はハンドルをボンと叩くと、「ゴムはうちにあった・・・あ。肝心なこと聞くの、忘れた」と独り言ちて、車を走らせた。

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