full of love~わが君の声、君の影~

メガネにニット帽でようやく点だった目が見開かれた。
満面の笑みで迎えてくれた

さっきまでキラキラした衣装を着ていたのに
今は白Tシャツに短パン。髪も洗いざらしというカンジ。
(本当にさっきの舞台の人と同一人物・・?)

でも声を聞いて安心した。
電話の声そのままだった。

咲の大好きな神島くんとも話ができたし
今日は一生の思い出になるねえ・・なんて咲と話しながら控室を後にすると
後ろからバタバタと足音が追いかけてきた。

あっまた追いかけてきてくれた。

「あ・あの・・また電話とか・・してもいいですか?」
「はい」
迷わずそう答えてしまった。


今思えば平凡で平穏だったと思っていた私の人生の中に
かすかに波立つ気配を感じた瞬間だったように思う。

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