full of love~わが君の声、君の影~

3.きみのそんざい


私はもともとおしゃべりだった。
なのに
彼と話していると久しぶりにしゃべっている気がする。

東京の大学に受かって田舎から出てきてしばらくは無口になった。
方言が恥ずかしかった。
でもそれではいけない!とサークルに入って
少しずつ話せる友達ができた。

そこで知り合ったのが主人だった。
私が1年生、彼が4年生。
たった3歳の違いも大人に見えた。
サークルの中でもおとなしくて地味な田舎者の私に彼は優しかった。

彼が社会人になってからも付き合いは続いて
私が3年のときに妊娠がわかった。
彼はといえばまだ社会人2年目で家庭を持つというのは
重荷だったのかもしれない。
仕事をこなすだけでも必死だったのだろう。
結婚後はほとんど家におらず言葉をかわすことは徐々になくなっていった。


私は家で独り育児で1日誰とも話さないなんて当たり前だった。
ようやく咲が幼稚園に入りママ友ができたが
最初は上手く言葉が出てこずあせった。

人は話していないと話せなくなるものなのだとよく分かった。


今は大分いい。
気のきいたことは相変わらず(いや元々?)言えないが
パート先でも皆と話すし咲ともよく話している。
内容も他愛のない日々似たり寄ったりの話。

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