full of love~わが君の声、君の影~
「もしもし?あら~お久しぶり♪」
自分で驚くくらい軽い声だった。
飲み屋のママか・・私は;
それからはあわてた。
電話越しに人の吐く音を聞くことになるとは思わなかった;
残っていた冷や飯でおかゆを作り小鍋ごと持っていくことにした。
「梅干しと塩昆布と・・」
支度をしながら不謹慎ながらも顔はにやついていたと思う。
早く足よ動け早く電車よ走れ
何とかついた彼のマンションの前で深呼吸をする。
(あくまでも私は“親戚のおばちゃん”の立ち位置でいくのよ)
と自分に言い聞かせる。
久しぶり見た彼の顔は以前よりほんの少しやせたのかシャープになって
大人に見えた。
当然青い顔をしていた。
思わず子どもにするように額に手をあてると
「冷たくて気持ちい~」
と本当に子どものように彼が言う。
一瞬息がつまったように苦しくなる。
だが私は即座にそれを振り払う。