full of love~わが君の声、君の影~
「!」
ベットに押し倒された・・;
(こんなことされたの何年振りだろう・・)
などと呑気に考えている自分の冷静さに驚く。
でもそんな頭の中に反して心臓の鼓動が速くなる。
息のつまりは苦しさとなって胸を締め付ける。
今自分がどんな顔をしているのかわからない。
だが彼が本気でないことはすぐにわかった。
腕をつかむ手に力がない。
(ふられて自棄(やけ)になっているのかな・・?)
自分のこの胸の痛みや鼓動の速さの意味を知る気はなかった。
知ったところでどうなるというのか。
心の中で自嘲気味に笑う自分がいた。
彼の顔が近づく。
だめだ。彼にそんなことをさせてはいけない。
「私の方こそ若い男の弱った所につけこんで押し倒す気なのかもよ」
我ながら上手い返しだと思った。
笑ってくれるかと思った。
けれど「スミマセン・・」とだけ言って枕に頭を戻し腕で顔を隠す彼を見たら
傷つけたのではないかと不安になった。
その後はできるだけ明るく必至で言葉をつなげた。