full of love~わが君の声、君の影~

「落ち着けよ神。そりゃ俺だって幽霊でも今日子さんに会えるなら大歓迎だよ・・でもそんなこと実際あるわけがないだろう?もしそうなら真っ先にお前たちに言うよ」
俺はウソが下手だ
まして相手は頭の切れる神だ
だませる自信なんかない
それでも俺は必死にウソをついた

神がつかんでいた手を離す
「そうか・・ここまで言っても言わねえか・・」
すまない神。わかってくれ
「じゃあ俺がこれからすることにも何も言うなよ」
「へ?」

「今日子さん!」
「!」
神は俺の左隣に向かって話しだす
今日子さんはいつも俺の左隣が定位置だった

「許してください、今日子さん」
頭を深々と下げる神
「お前・・」
「あなたに咲さんの花嫁姿を見せられなくて・・本当にスミマセンでした。彼女を生み育ててくれてありがとうございます。彼女を俺に会わせてくれてありがとうございます。俺に大切なものが何かを気付かせてくれてありがとうございます・・」

息を吸う
「もうすぐ子どもが生まれます。俺一生をかけて3人を守っていきます・・いきますから見ててください」

声がふるえている
更に深く頭を下げる神

今日子さんは俺の隣で顔を手で覆ってしゃくりあげる
幽霊は涙を流せない

「神・・今日子さんはわかっているよ・・お前なら大丈夫だってこと・・だから・・」
俺までつられて泣きそうだ


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