full of love~わが君の声、君の影~

いつもと変わらぬ何気ない普通の話。
その途中で突然彼女が声をあげた。
「あー!煙出てる!」
え?
「ごめん・・ちょっと・・」
電話の向こうでガチャガチャ音が聞こえるが意外とすぐに戻ってきた。

「ごめんごめん・・お鍋焦がしちゃった」
「え!?大丈夫なの!?」
「大丈夫。今水につけてきたから。えーっと何の話だっけ?」

煙出てるって言ってたよね・・火事寸前?

「さすが落ち着いてるよね」
「ん?」
「俺だったらあわててパニックだよ」
「私だってパニックになってるよ」
「えーどこが?全然騒がないしあっという間に処理してきたじゃん」
「そんなこと・・今心臓バクバクだよ」
「ホントに?」

声だけではわからない。
いつもの落ち着いた声に聞こえる。

「ホントだって手ふるえてるし」
「・・・」

まじで?

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