ブランコ。
正直、今回のあの涙は堪えた。

先輩が、僕のような人間のせいで涙を流したなんてあってはいけないんだ。

僕のような人間が、先輩の歴史にちょっとだけ後輩として顔を出すことは許されたとしても、決してその歴史に傷なんかつけちゃだめなんだ。

僕は先輩が遊び友達として僕を必要としてくれているならば、出来るだけのことをしたいと心の中で誓う。



こんなことを言っちゃだめなのかもしれないが、先輩の涙は美しかった。

あのふんわりとしたいつもの笑顔から、ガラスか何かで出来たような、キレイで、透明で、光る雫が、コロコロと頬の上をいくつも滑っていったのだ。
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