ブランコ。


「心当たりは……」

「…………」

「まさか……」

「…………」

「誰かが使ってるってことか?」

「……うん……そうなのかも」

「怖いな……」

「……うん……でも、そうと決まったわけじゃないし……」

「…………」

「一度……言葉にしちゃうと怖いね……」


リエは無理矢理笑顔を作ってそう言った。

その大きな目にいっぱい涙を溜めながら。

その笑顔はすごく痛々しくて、強い日差しを見たときのもやもやとした黒い残像のように、僕の網膜に焼きついた。

僕の心にも強く焼きついた。
< 59 / 260 >

この作品をシェア

pagetop