キミへの想いを10文字で。
雑誌を持って部屋へ行こうとするあたしの腕をお姉ちゃんが掴む。


「あたしね、彼に作るんだ、今年はタルト台から作るチョコレートタルト。一花ちゃんも、一緒に作らない?アーモンドプードル、少量で売ってなくて、ものすごーく沢山あるから……」


一体どうしたんだろう。


恋する女子は回りが見えなくなってしまうもの?


今まで、こんなグイグイくるお姉ちゃんなんて、あんまり見たことがない。


あたし、作らないって言ってるのに。


元々作れないし、作るの好きじゃないし、今年は翔琉に…………結実ちゃんとあたしから、と、チョコを渡すなんて無神経なことしたくない。


「博己君は勿論、翔琉にも今年はいいかなぁ、あたし。幼馴染みから義理チョコ貰うなんて、何のトキメキもないんじゃない?」



……翔琉は、今まできっとずっと、ときめいていたんだろうけど。
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