黒色女子を個人授業
宮間さんの言うことは最もだった。


手を抜いて仕事をしていたわけではない。

だが時間が限られているからには、質より量が求められるときもある。

膨大な納品物の中で、いつまでも資料の端々の出来具合にこだわっているわけにもいかず、スピードとクオリティ、その両方のバランスが取れて初めて合格点となる。

だが、彼女にはそれが許せなかったらしい。時間をかけないで作ったものは、やはり見る人が見ればわかるのだ。

そもそもデザインは時間をかけて考え抜かれてなんぼ、完璧でなければ話にならないから、そんな彼女の仕事の仕方を理解できなくもない。


彼女が優秀な人であるということも分かっていて、大城さんも、頼んだ仕事を短時間で的確にこなしてくれる人だと喜んでいた。

そんな彼女の指摘だ。半分因縁をつけられているに近いのだが、かといって無視することもできない。


私が未熟だからいけないんだ。


私は自分を責めるしかなかった。
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