黒色女子を個人授業
私がびくびくしていると、彼は私の目の前までやってきて、腰をかがめて覗き込んできた。


お願いだから、こんなみっともないところ見ないでっ!!


叫び出しそうになりながら、必死に彼の視線から逃げて下を向くと


ぽんっ


私の頭に彼の手が乗っかった。

……え?


頭が真っ白になった。

何??


私が事態についていけず、ぼんやりとしていると

「だいじょうぶ。君はよく頑張ってるよ」

そう言って、彼は私の髪をクシャクシャっとかき回した。


私の目を見て柔らかく微笑むと、彼はその手をそっと頭から離して、私の涙を拭い、何事もなかったかのようにポケットへしまい込んだ。

私は頭に残るじんわりとした彼の手の名残を抑えながら、立ち尽くす。


な、何、今の……


時間を置いて、鼓動がざわめきだす。

ぬくもりが消えない。


何それ、どうしよう……

歩き出す彼の後ろ姿を、何も言えずに見つめていた。


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