黒色女子を個人授業
「さて。ところで僕、終電無いんですよねー」

沈黙を打ち破ったのは大城さんの方だった。

「天野さん、終電大丈夫なんですか?」尋ねられ、
「あ、はい、だいじょぶです」動揺を隠して答える。

正直さっきの衝撃で、まだ頭はまともに回っていない。

「家はどこ?」

「三軒茶屋です」

「そこなら、僕の家の通り道だ。タクシーで送ってくよ」

彼は通りに出て、タクシーを探し始めた。

「いえ! だいじょうぶです! 帰れますから!」慌てて断りを入れると
「どうせ経費だから。気にしないで」彼はにっこりと微笑んだ。


そういう問題じゃない!

心の中で叫んだ。


私は一秒でも早く、彼の前から姿を消したかった。
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