青空の下月夜に舞う
タンスはスーパーで千円の三段ボックス。

机は小さなローテーブルを雑貨屋で買った。

三段ボックスは捨てよ。
ローテーブルはまた買えばいいや。

大きなスーツケースに数枚の服、下着なんかを入れていく。

パンパンになって入りきれない……
なんて事はなくて。

ドライヤーや、鏡。
出掛ける用のバックまで全て入った。


「……っ……」


不意に喉に痛みが走る。

唇を噛み締めて拳を握り、グッと力を入れた。

それでも痛みは収まらず、立ち上がるとお風呂場に向かい、ユニットバスの蛇口を捻ると、頭から水を浴びる。


あーあ……また着替えなきゃ。

冷静な自分は、まるで幽体離脱をしたかの様に端から見ていて。

顔を上げて備え付けの鏡を見ると、唇から血が滲んでいた。
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