青空の下月夜に舞う
「連れてきたぞ~」

中に足を踏み入れるのを足が戸惑う。


だけど……後ろを歩いていた男に背中を軽く押され、私の心とは反対に、あっさり中に入った体。

すると、扉は私の後ろでバタン、と音を立てて閉まり、恐怖を感じながら、中に視線をおよがせるしか無くなった。


――――――瞬間。



「麻衣!!」



言い慣れた風。

しかも、その声は聞き覚えがある。

助手席の男を押し退けて、現れた人に心底驚いた。


「ゆ、だい……」

「ごめんな?怖かっただろ?麻衣を利用したみたいになって、本当にごめん。つーか久しぶりだね!元気してた?」

「う、ん……」


想像してなかった。
雄大が居るなんて。

茶色の少し長めの髪。
見上げる身長。

細くて長い指が私の髪に触れる。

思わず体がビクリと反応してしまった。
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