青空の下月夜に舞う
え!

え!

えぇ?!


「えぇーーー?!」

「うるさいお前。早く乗れ。もう54分」


赤い半キャップのヘルメットを渡されながら、面倒くさそうに話す祐也。

嘘でしょう?私バイク乗った事ないよ。
てか祐也のヘルメットは?
転んだら死んじゃうよ?


「乗れって。遅刻すっぞ」

「……死なない?」

「てめぇ何気に失礼だな」


数秒固まった後。

ぎゅっと拳を握り、よし。と自分に気合いを入れた。

祐也の手を掴み、何とか乗った私。
背に腹は変えられない。
バイト遅刻しない為だ。


「急いでね。でも飛ばさないで。殺さないでよ」

「お前言ってる事無茶苦茶だぞ」


後ろに乗り、ヘルメットを被ると、祐也の服を摘まんだ。

その瞬間、バイクは信じられないくらいの音を吹かし……


「いやーーーー!!」

「麻衣!落ちんなよ」


あっと言う間に学校から距離が開いていった。
< 8 / 319 >

この作品をシェア

pagetop