彼に殺されたあたしの体
あたしは混乱した。


嗅覚が生きているハズなのに、どうしてにおいに気が付かなかったのかわからなかった。


ウジムシたちはあたしの鼻の穴や耳の穴を激しく出入りしている。


そして眼球の隙間からも……。


と、その瞬間。


ウジムシたちがあたしの左目の眼球を押し上げたのだ。


腐った眼球は簡単に外へと飛び出す。


飛び出した眼球は重力に逆らえずゴロリと転がり、伸びきった筋肉よってかろうじて体とつなぎとめられていた。


左目は完全な空洞となり、あたしの視界は少し悪くなった。


そうか。


体内でこれと似た事が起きたから、あたしは嗅覚が弱まっているんだ。
< 118 / 306 >

この作品をシェア

pagetop